サウダーデ&ラビリンス〜Fez(1)

ブー・ジュルード門

シャウエンから世界遺産のフェズへ。なんと13年ぶり。フェズ・エル・バリを1日かけて歩き、夜はタジンを堪能した。

2007/08/15(Wed:第13日)世界一の迷宮を歩く<フェズ 晴れ>

フェズ市内観光(フェズ・エル・ジェディド、フェズ・エル・バリ)〜Hotel Ibis Moussafir Fez★★★
* フェズのメディナが世界遺産に登録されています。
徒歩でメディナへ
炎天下でバスを待ち続けた影響か、起きるのが遅くなる。まずは、宿の向かいにあるカフェで朝食。さすがに都会のフェズでは、カフェにも女性客が少しいる。「プチ・デジュネ」で相手は理解し、朝食<下左>にありつくことができた。クロワッサン2種類、カフェオレとオレンジジュース。さすがに洗練された味で、料金も20DHする。

カフェの朝食セット フェズ駅前

この日はフェズの観光に丸1日割くことにする。プチタクシーで旧市街フェズ・エル・バリ(註1)ブー・ジュルード門(註2)へ行くことも考えたが、時間がたくさんあるため、徒歩で行く。宿はフェズ中央駅のすぐ前にあるが、朝からかなりの交通量<上右>である。(註1…Fez el Bali。9世紀にできたモロッコ一の古都。史跡はほとんどここにある。)(註2…Bab Bou Jeloud。1913年建造と比較的新しいが、フェズ・エル・バリに通じる美しい門がメディナの代名詞のようになっている。)

フェズの王宮 メラー方面の城塞 穀物スーク メラー特有のものか

新市街から、フェズ・エル・ジェディド(註3)へ。ここには王宮<上左>があり、門は閉ざされているものの、写真だけは撮ることができる。道の右側はユダヤ人街メラー<上左中>(註4)である。ここの郵便局で、絵はがきを2通出す。ここから先は穀物<上右中>などのスークとなっていて、通りをひとつ入ると、中庭のある建物<上右>に通じる。現在ユダヤ人たちはイスラエルに移住してしまったらしいが、明らかにモロッコとは雰囲気が異なる建物であった。(註3…Fez el Jedid。アラビア語で「新フェズ」という意味。13世紀に作られた地区で王宮がある。)(註4…Mellah。ユダヤ人たちはイスラエル建国の際にほとんどが移住したという。)
ロバのあとをついていくと…

フェズ・エル・ジェディド 若者2人のサボテン売り ブー・ジュルード門 パティオ状のスーク

スマリン門からフェズ・エル・ジェディド<上左>のスークを突っ切る。ここはいうなれば新しい旧市街で比較的歩きやすい。そのまま突き抜けると王宮の裏門である。ここは撮影禁止のようで、カメラを構えただけで警官に注意された。ここを右折。日陰にはサボテン売り<上左中>(註5)。道なりに城壁沿いに歩くと、ブー・ジュルード門<上右中>へ到着した。早速メディナへ。しばらくはよくわからないところを歩いていた。パティオのようになったスーク<上右>ではやたらと声がかかる。(註5…ウチワサボテンの実を売っている。内部は種が多いらしいが、甘いとのこと。)

輸送手段のロバ 荷車を牽く馬 メディナの商店 路上の物売りも

まさに迷宮の中に放り込まれた感じである。かなりの人出でガイドブックを取り出して地図を確認したり、気になる被写体を撮るために立ち止まることも出来ない。まるで香港の雑踏である。狭いメインストリートにはたまに階段もあるため、ロバ<上左>馬<上左中>や手押し車が輸送手段である。狭い通りには、左右に職種ごとに店<上右中>が並んでいる。壁に掛かる土産物<上右>なども見かける。その中を漂う人いきれ。やや空気は悪い。
気づくと、カラウィン・モスク<下左>(註6)まで来ていた。ここで地図を確認。今通ってきた道はタラア・セキーラ通り。カラウィン・モスクを一回りしようとしたものの、さらに人出は多くなる。また、この中で口げんかが始まってしまったようだ。人の流れは途端に悪くなる。(註6…Mosquee Karaouiyne。チュニジアのカイルアンからの移住者により建造された。観光客は入ることができない。)

カラウィン・モスク 裏通りへ 裏通りの少女 糸紡ぎ

ここを脱出しようと、通りかかったロバとそれを引く老人のあとをついて歩く。だが、裏通り<上左中>に入り込んだらしい。まあなんとかなるだろう。ロバのあとをついて歩くのは楽しかった。やがて、パンの盆を頭に乗せた少女<上右中>が通りかかり、行き先が一緒だったのか、何となく並んで歩くことになった。カメラを持っていたので、「フォト」といわれ、まずは一眼レフで1枚。少女はカメラの裏蓋あたりを覗き込むが、モニターがないので、デジカメでも写すことにする。モニターを確認した少女は自分の家に戻る。このあとは、地元の少年たちが現れつかず離れず歩き出す。狭い路地では糸紡ぎ<上右>(註7)を見かけた。(註7…以前はすべて人力で行っていたが、今はモーターを使っていた。)

路地裏のサボテン売り ブー・ジュルード門 アボガドジュース 茹ですぎのスパゲッティ

そのあと、サボテン売り<上左>を見かけ、身振りで写真を撮っていいかと示すと、頷いてポーズを取ってくれた。老人のロバは、やがて元のタラア・セキーラ通りへとでた。いったんブー・ジュルード門<上左中>へ。気づくともう正午をまわっていた。眺めの良い、Le Kasbahというレストランへ。ブー・ジュルード門の見えるテラス席へ。腹は減っていたが、この時間帯に腹にたまるモロッコ料理を食べたくなく、やはりスパゲッティを頼んだ。パンとミニハリラが運ばれる。豆の入ったハリラであった。飲み物はアボガドジュース<上右中>でシディ・アリiの小ボトルと合わせて55DHであった。スパゲッティ<上右>は茹ですぎではあったが、シャウエンの時同様、お腹に優しい。
マドラサとタンネリ
再び、迷宮へ。今度は、左の道、タラア・ケビーラ通りを進む。門に近いところは、肉や野菜のスークである。羊や牛の頭が並び、新鮮そうな肉の塊がぶら下げられている。

ブー・イナニア・マドラサ 祈りの場所 中庭 学生たちの寄宿部屋

途中のブー・イナニア・マドラサ<上左>(註8)に入場。入場料10DHで、チケットはない。幾何学模様の描かれた中庭がほとんど。モロッコでは宗教的な建物、特にモスクは非ムスリムは入ることが出来ないので、少しだけイスラミックな香りを体験する。ここには、祈りのスペース<上左中>もあるが、観光できるのは中庭<上右中>とそれに隣接するところのみである。中庭をはずれ、狭い空間の奥には神学校の学生が寄宿した小部屋<上右>が並んでいた。(註8…Medersa Bou Inania。14世紀にマリーン朝のプー・イナニア王によって建てられた神学校。)
タラア・ケビーラ通りは最終的にはタラア・セキーラ通りと一緒になる。ここをカラウィン・モスク方面に進むと、アッタリーン・マドラサ(註9)に出るが、修復中。途中スーク<下左>を覗き、ザウィア・ムーレイ・イドリス廟<下左中>をなんとか探し出した。ここも入口までで内部は眺めるだけである。(註9…Medersa Attarine。14世紀に建てられた神学校。ブー・イナニア・マドラサより小規模。)

スーク ザウィア・ムーレイ・イドリス廟 アンダルース・モスク 路上の革取引

そのあと、タンネリ(註10)に行きたかったのだが、非常にわかりにくかった。間違った方向にも行ってしまったほどである。だが、そのおかげでアンダルース・モスク<上右中>(註11)の前に出た。なんとか探し出してたどり着く。すでに路上でなめされた革の簡単な加工や革の取引<上右>を見かける。ここは、皮革専門の工房が並び、客引きが店の内部に案内する。店の奥がテラスになっていて、なめし革を染色液につけ込む作業<下左、下左中>を見学できるのである。染色液を満たした壺が無数に並び、服や身体を染めながら職人が作業している様子がわかる。通常はチップを払えばそこで終わりだが、革の作業を眺めたあと、革製品を土産にしてもいいかと思い、ベルトを2本購入した。(註10…Tanneries/Souk Dabbaghin。フェズ川のほとりにあるなめし革染色職人街。)(註11…Mosquee des Andalous。861年建造。アンダルシア出身者のために建てられた。)

タンネリ 職人が歩き回る 絨毯屋のデモ 露店

通りを戻り、今度は絨毯屋につかまる。ミント茶を出され、デモンストレーション<上右中>を見せられる。小さな祈祷用絨毯の値段を聞くとかなり安かった。ムスリムの友人がいるので、これも購入した。ただし、手持ちのディルハムはかなり心細くなってしまった。ブー・ジュルード門には戻らず、肉と野菜のスークを進んでいくと、さらに庶民的な露店街となる。その先は靴や雑貨を露店<上右>で販売している。中には、壊れたカセットテープとか意味不明なものもあった。
ブー・ジュルード門から中央駅まで行く。宿まででも良かったが、時刻を調べたかった。メーターで9.0DH
タジンの夕食

ランプの元で ハリラ レモン・チキンのタジン デザート

夕食は、宿近くのちょっと高めのレストランへ。La Cheminee。オリーブの実<上左>とバターやパンが運ばれる。店は暗くしてあり、テーブルにランプが灯される。雰囲気は十分だが、ちょっと気取ったウェイターは入口近くでタバコを吸っているような始末である。シディ・アリの小ボトル、ハリラ<上左中>(註12)レモン・チキンのタジン<上右>をオーダー。ハリラはようやく口にすることが出来る。肉が入っていた。やはり美味い。だが、ここはアルコールのある店らしく、かなり高い値段設定。最後にアイスクリーム<上右>も頼み、税込みの160DHと、またもやディルハムをかなり減らす。(註12…Harira。モロッコを代表するスープ。)<Next→三地区駆け足観光>

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