サウダーデ&ラビリンス〜Essaouira(1)

スカラの大砲

灼熱のマラケシュから大西洋に面したエッサウィラへ。カモメ舞うこの町では奮発したホテルと海の幸でゆるゆる過ごす。旅の終盤にはもっともふさわしいシチュエーションであった。

2007/08/22(Wed:第20日)大西洋からの風<マラケシュ 晴れ エッサウィラ 晴れ>

マラケシュ8:00-(Supratours)-11:00エッサウィラ〜Hotel des Iles★★★★
* Supratours=ONCFが経営するバス会社。
* エッサウィラのメディナが世界遺産に登録されています。
Supratoursでエッサウィラへ
6:30というかなり早い時間にレセプションに降りていく。だが、食堂はやっていた。簡単な朝食<下左>だが、歩道のテラス席に出て味わう。部屋に戻り、荷物を持って、チェックアウト。240DH。はじめ、係は寝ぼけていて計算が出来なかった。不寝番だったのだろう。Supratoursのターミナルへ。まだ涼しい時間だが、やはり荷物が重く、たいした距離を歩いたわけでもないのに、汗が出る。カウンターで荷物を預けようとするが、CTM同様に、タグを付けてくれただけで、自分でバスまで運ぶのである。荷物代、5.0DH。まあ、ここは始発だし、多少遅れても問題ない。

簡単な朝食 Supratoursのバス 車内

ほぼ時間通りにやってきたバス<上中、上右>だが、10分遅れで出発。ほぼ満席。乗客はおとなしく座席指定通りに座っている。バスは空調もかなりよく効き、寒いくらいである。もちろん、今まで乗った中で最も新しい車両であった。
中間点で休憩バスは1時間半ほど走り、中間点<右>あたりでトイレ休憩を取る。トイレに行っておく。1.0DH。ここには、マラケシュを同時刻に出発したらしい、CTMのエッサウィラ行きバスも止まっていた。再び出発し、やがて海が近いのか下っていく。見覚えのある街並みが近づく。エッサウィラが近い。やがて、海岸近くのSupratours専用バスターミナルに到着。宿までプチタクシーを拾おうとしたが、止まってくれそうもない。地図を見ると近そうだったので歩く。
Hotel des Iles
予約したオテル・デジル<下左>はすぐに見つかる。海岸沿いにあるが、メディナの中ではない。レセプションに行き、名前を告げると問題なく手続きが進む。モロッコで使用を断り続けられた、クレジットカードだが、確認するともちろん使えるという。ここの宿泊料をキャッシュで払おうとするとかなりの額を両替しなくてはならない。案内された部屋<下左中、下右中>は、フロントから階段を上がったところにあった。作りかけのような様子で、ツインのはずなのに、片方のベッドがなかった。

海岸沿いに建つ ツインなのに片方のベッドのみ 机のあるのがありがたい 高いだけはある

リスボン以来となるバスタブ<上右>つき。まあ、お湯を貯めず、いつもシャワーだけなのだが。洋式トイレにビデ、これまた久しぶりのテレビと電話。いうことなし。
窓からは中庭のプールが眺められる。プールの周りにはコテージのようなものが並び、こちらだといくらか安く上がるようだが、まあいい。ただ、海に近いためか、窓は塩が浮いていた。エアコンはなかったが、大変快適である。暑くないし、寒くない。あれほど暑いマラケシュから比べると、エッサウィラは天国のようである。ともあれ、荷物を整理し、最後の洗濯をする。果たして乾くかどうか。ともあれ、この由緒ありそうなオテル・デジルを拠点にして、エッサウィラの2日間を過ごすことになるのだ。
海鮮屋台の昼食

スバア門 トンネル状の路地 エッサウィラのランドマーク

外出する。外も快適。やはり大西洋からの海流の影響だろうか。とても夏のモロッコとは思えない。スバア門<上左>よりメディナに入る。トンネルのような路地<上左中>を抜けると、やがて時計塔<上右中>が見えてくる。その先をくねくねとすり抜け、ムーレイ・エル・ハッサン広場<上右>へ。さらに港方面へ。魚市場近くにある、海鮮屋台<下左>(註1)へ。(註1…エッサウィラのメディナにはクルマが入れず、すべて駐車場に止めることになるが、その裏側にシーフードのバーベキュー屋台がずらりと並ぶ。料金は協定価格で決まっている。)

海鮮屋台群 料金表 エッサウィラの海産物 本日の昼食

屋台群の入り口には料金表示の掲示板<上左中>がある。新鮮そうな素材<上右中>を店頭に並べた屋台に。イワシとエビ<上右>をグリルで注文。値段が明記されている明朗会計だが、どうやら数量は適当に見繕われたようだ。イワシは新鮮だった。だが、エビには相当の塩がふってあり、あまり美味しくなかった。飲み物と合わせて70DH。ただし、呼び込みの男はチップを要求したが、応じなかった。
カサブランカへのチケット確保
ともあれ、腹を満たし、CTMと民営のバスターミナルへ。時刻調べもあるが、早いところカサブランカ(註2)行きのバスチケットを確保してしまおうというつもりであった。(註2…Casablanca。人口380万人のモロッコ最大の都市。)
メディナ沿いに歩き、バスターミナル<下左>を目指す。2年前にも利用したことのある場所だが、断片的にしか記憶がない。が、なんとか到達した。明後日のカサブランカ行き。CTMでは11:30発という理想的な時間のものは売り切れていた。民営でもいいかなと思ったが、建物外側のバスの発着所では常に喧噪が繰り広げられている。ここに到着した時も、荷物を巡って、荷物係が外国人観光客を巻き込んで喧嘩まがいのことが起きていた。

エッサウィラのバスターミナル ドゥカラ門 エッサウィラのメインストリート スカラ下の商店街

やはり、CTM。仕方がなく、並び直して、早朝7:00の便を確保。130DH。そのまま、ドゥカラ門<上左中>からメディナに入る。ムハンマド・ザルクトゥーニ通り<上右中>からイスティクラール通りを経て、メディナ北のスカラ<上右>へ。
北のスカラ
スカラには、北稜堡の展望台<下左>が付属する。ここからは波荒い大西洋<下左中、下右中>が眺められる。一方、スカラは海に突き出た城塞で数多くの砲門<下右>が海を向いている。ここにいると、気持ちが落ち着いてくるのだが…。

北稜堡の展望台 展望台からの眺め 波の荒い大西洋 スカラの砲門

しかし、トイレに行きたくなり、宿へ。鍵をもらうと、対応した中年女性の係が、いろいろ聞いてきた。この人が予約を受け付けた人であるという。それによると、朝食は提供できることになっているという。次にどこに行くかということになり、「カサブランカ」と答えると、「チケットは確保しましたか?」ときかれた。正直に教える。このことが後で親切として伝わってくるのだが。
体調を崩しかけるものの…

本来の部屋の形に エッサウィラのビーチ 引き潮 干潟で遊ぶ少年たち

部屋<上左>に戻ると、撤去されていたと思われたベッドが入っていた。疲れていたのだろうか。そのまま、昼寝となってしまう。慌てて飛び起き、海岸経由で港へ。エッサウィラの海岸<上左中>は珍しく、砂浜となっていて、海水浴のほかビーチサッカーに興じる人も多い。引き潮なのか、干潟<上右中、上右>もできている。港に入る。海門のスカラ<下左>も魅力的であったが、もうすぐ閉まるので、明日に取っておく。船<下左中>カモメ<下右中>、漁師たちを撮影したが、再び腹が痛くなる。また宿に引き返す。どうやらマラケシュの暑さに今頃体調を崩したらしい。オレンジジュースもやたらと飲んだことだし。薬を飲むことにしよう。

海門のスカラ エッサウィラの港 無数のカモメ オーソン・ウェルズ記念室

すっきりして、ホテルの中を探検。その中にオーソン・ウェルズ(註3)を記念する部屋があった。オーソン・ウェルズの部屋<上右>には映画のポスター<下左、下左中>古い調度品<下右中>が置かれていた。プール<下右>の周りは売店などもある。切手も売っているようだったが、販売人が不在であった。(註3…George Orson Welles。1915-1985。ハリウッドを代表する映画監督、脚本家、俳優。1952年の監督作品「オセロ」では、エッサウィラでロケを行っている。)

「オセロ」のポスター モロッコの古いポスター 古い調度品 ホテルのプール

夕陽とトワイライト
夕刻になり、三度目の外出。宿近くのキオスクで切手を購入。フェズで書いた絵はがきをやっと出すことが出来る。夕陽を見に、北のスカラ<下左>へ。いい具合に夕陽<下左中>が沈むところだったが、かなりの人出で、スカラの海に面した城壁には人が鈴なりである。しょうがないので、人も入れて夕陽を撮る。海<下右中>もオレンジ色に変わりつつあった。

夕陽を見る人たち エッサウィラの夕陽 夕刻の海 夕刻のムーレイ・エル・ハッサン広場

その後、トワイライトを求めてメディナの中心部へ。だが、ちょっと遅く、ムーレイ・エル・ハッサン広場<上右>でぎりぎり撮れたくらいであった。
本格イタリアン
夕食は以前来たことのある、イタリアンレストランのDarbabaへ。だが、ここはどうやらフランス人の経営らしい。フランス語を話す人たちである。とはいえ、まっとうなイタリアンの店。
シディ・アリの小ボトルと、ハウスワイン<下左>の赤のハーフボトル。パンとオリーブが運ばれる。イタリア風アンティパストとレモン味の肉の薄切り焼き(註4)を頼む。アンティパストは、生ハムやサラミの盛り合わせだろうと思っていたら、野菜料理<下左中>であった。この時期のローマでは野菜をアレンジしたものがよく出る。それになかなか美味い。(註4…Scaloppine al Limone。)

水、ワインとパン、オリーブ 夏野菜のアンティパスト レモン味のスカロッピーネ イタリアンビールの看板

スカロッピーネ<上右中>はこれこそイタリアンという味である。イタリアに来たわけでもないのに、イタリアを堪能した。やはりイタリア料理は美味しいし、ちょっとやそっとじゃ真似できないと思う。まあ、前に来たときにもこれを頼んだわけだが、美味いものは二度食べても美味しい。この店は、壁にイタリアを想像させるものがオブジェ<上右、下左、下左中、下右>や飾りとして掛けてある。なかなか良い雰囲気だ。

ポスター 魚図鑑 パスタ図鑑 直火式のエスプレッソ

最後はエスプレッソ<上右>を頼む。ただし、マシンがないので、マキネッタ(註5)という直火式の薬缶のようなもので入れてくれる。近代化前のエスプレッソである。183DH(註5…Macchinetta。)
その後のアーメッド
ここを出ると、絨毯屋につかまる。入る前も何かいいたそうだったが、適当にごまかして出てくる。それより、まだ用事があるのだ。2年前泊まった宿の前にあったアンティークの店で出会った男、アーメッド(註6)に会いに行く。(註6…Ahamed。「陽の沈む国へ」エッサウィラそぞろ歩き参照)
店に行く。中に入るが、姿はなく、店番の少年に聞いてみる。「アーメッドはいない。ここをやめてどこかへ行ってしまった」とのこと。残念。まあ、そういうこともあるさ。その後ここの並びの店で、アルガンオイル(註7)入り石鹸など土産物を購入した。(註7…Argan Oil。アルガンという樹木から取れる、樹脂成分。爪のケアにいいらしい。アルガンの木はモロッコの特有種でモロッコでもエッサウィラ周辺にしか生えないという。)<Next→海と魚、極上の至福>

リスボン(1) リスボン(2) オビドス ラーゴス サグレス ファーロ アルヘシラス

ティトアン シャウエン(1) シャウエン(2) シャウエン(3) フェズ(1) フェズ近郊 フェズ(2)

ラバト(1) ラバト(2) マラケシュ(1) マラケシュ(2) エッサウィラ(2) カサブランカ(1) カサブランカ(2)

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