サウダーデ&ラビリンス〜Tetouan

ジブラルタル海峡のフェリー

いよいよ、ジブラルタル海峡を渡り、モロッコ入り。タンジェからはシャウエンを目指すつもりだったが、移動の辛さからティトアンで宿探しをすることになったのだが…。

2007/08/11(Sat:第9日)ジブラルタルを渡りモロッコへ<アルヘシラス 晴れ タンジェ 晴れ ティトアン 晴れ>

アルヘシラス10:00-(Comarit)-10:30タンジェ11:50-(Grand Taxi)-13:40ティトアン〜Hotel Paris★★
* スペインとモロッコの間には-2:00の時差があります。
* ティトアンのメディナが世界遺産に登録されています。
朝食兼下調べ
比較的早い時間に起きることが出来た。朝食を食べに外に出ようとする。宿の主人は不寝番をしていたらしく、かなり眠そうな表情である。昨日のバールに行ってみるが、まだやっていなかったので、バスターミナル<下左>の中にバールを見つけた。ここで朝食<下右>とする。カフェ・コン・レチェ(註1)と生ハムのボカディージョ(註2)で、3.5ユーロ(註1…Cafe con Leche。いわゆるカフェオレである。)(註2…Bocadillo。スペイン風サンドイッチ。)

アルヘシラスのバスターミナル カフェ・コン・レチェとボカディージョ

バールの脇にタンジェ(註3)行きフェリーのチケットを扱う窓口があり、時刻をチェックすると1時間おきに出ていることがわかる。料金は35ユーロとのことで、ガイドブック表記の高速フェリーと同じ料金であった。(註3…Tanger。モロッコ北部の都市で人口67万人。スペインとの間にフェリーがある。)
宿に戻ると、例の主人がスペイン語で「チェックアウトは正午だぞ」と告げる。少し休み、チェックアウト。料金は昨日すでに払っている。フロントは主人の奥さんらしい女性に変わっていた。この人もスペイン語しか話せないが、港までの道を聞いた。
アルヘシラス港
歩き出すと、港までは大した距離はなかった。町の構造はこんなコンパクトだったのかと今更納得する。港の前にある旅行代理店<下左>でフェリーのチケットを購入する。カード払いできることを確認してからである。10:00の便で、やはり35ユーロ「まっすぐ行くと乗り場がある」と教えられる。

アルヘシラス港の手前 フェリーターミナル内部 タンジェ行きフェリー

代理店から乗り場まで徒歩で10分ほど。その途中にもチケット売り場がある。かなり大きい規模だが、わかりやすい。ターミナルの建物<上中>に入り、上の階でチェックイン手続き。明らかに、モロッコ人が多い。引き替えにもらった搭乗券には11:00の便となっていた。そのまま進み、出国手続き。パスポートをちらっと見ただけで、そのまま返される。何とも簡単な手続きである。11:00の船は入港していたようだが、そちらの乗船口は開いてなく、結局は10:00の船<上右>に乗ることができた。
フェリー乗船
車載スペースから階段を上がり、人の過ごすスペースへ。VIP扱いの席以外どこにいてもいいようである。バール<下左>のある船の前のあたりを陣取った。ここでは食事も出来るようになっているのか、たくさんのソファとテーブルが並ぶ。窓側にあるテーブルの上に、荷物を明らかにわかるように置いた。

バールのあるスペース 免税品店 モロッコ入国審査の列

船内を少し歩いてみた。まだ新しい船なのか、ところどころ防水の紙を敷いてある箇所もあった。船内に銀行もあるが、これは結局開かれることはなかった。免税品店<上中>もあり、こちらは営業しているようであった。定刻の出発。席に戻ると、やがてスペイン語、アラビア語、フランス語でアナウンスがあった。ロビーの一角では長蛇の列<上右>が出来ている。並んでいるのが、アラブ顔の人たちばかりなので、モロッコ人だけの何かのチェックなのかと思っていた。再び席に戻り、モロッコの入国審査の項を読み返すと、スペインからの船による入国は、船内で行われるという。ということなので、自分も列に加わる。この船に乗り込んだ時に、入国カードをくれた。これは記入済み。他の人たちにはその他の書類もあったのだが、これは渡されなかった。
手続きはかなりの時間がかかる。列は遅々として進まない。後ろにいた、フランス人らしい男性が、こちらの赤い漢字の書かれたパスポートが気になるようで、見せてあげた。「ビザ?」という言葉が聞こえたが、「日本人には必要ないんだよ」と答えておく。ようやく自分の番が来る。パスポートを調べ、スタンプを押す係がひとりと、その隣は入国カードを受け取り、パソコンに入力する係がひとり。列は縦に2列出来ているので、なかなか進まないし、グループのすべての人たちが並んでいるわけでもなく、自分の順番になってやっと姿を現す人などもいるので、ここまで1時間かかったことになる。
ジブラルタルの風
自分の席のあるスペースに戻る。ちょっと疲れたので、バールでカフェ・ソロ(註4)を飲む。まだユーロが適用されて、1.5ユーロ。隣はスペイン人の観光客であった。ちょっと話をする。「スペイン語は話せない。ポキート(少し)・ポキート」というのが、常套手段なのだが、この人は少し英語が出来た。タンジェからどこに行くという話になり、「シャウエン」という地名を上げると、「ボニート(美しい)」といわれる。(註4…Cafe Solo。ブラックコーヒーという意味だが、エスプレッソが出てくる。)

ジブラルタ・ロック フェリーのデッキ フェリー ジブラルタル海峡渡航記念

出港して1時間あまり。この間に、ジブラルタル(註5)にあるジブラルタ・ロック<上左>を入国審査町の間に撮影していたが、本格的に船内を探索する。上の階に上がると、デッキ<上左中>に出ることができ、風に当たる。フェリー<上右中>の運航は順調なようだ。モロッコ人観光客にデジカメをわたし、記念撮影<上右>した。デッキ後部には、モロッコ国旗<下左>がはためいていた。(註5…Gibraltar。イギリスの海外領土で、イベリア半島南端にある。人口2.8万人。使用通貨はジブラルタル・ポンドでポンドも使用可能。ユーロではないところがポイント。)

イベリア半島方面を望む タンジェ港

やがて船はスピードを緩める。昨日バスから見えたリフ山脈はかなり近く見えたのだが、この船はそちらに直行せず、ジブラルタル海峡を斜行するように進むため、2時間半かかるのである。やがてタンジェ港<上右>へ入る。
タンジェ上陸
荷物を持ち、再び車載スペースから外に出る。簡単なパスポートチェックと荷物チェックがある。荷物はベルトに載せてX線を通すだけだが、この受け取りの際に、別の観光客にレンズ類の入ったバッグを落とされてしまった。被害はなかったが、気分が悪い。ここからはもうモロッコで、港<下左、下中>の中にある、いくつかの銀行の中から最もレートの良いところで、200USDを両替。モロッコ・ディルハム<下右>である。ここから向かう先は、リフ山脈の中にあるところである。

モロッコ入国 タンジェ港 ディルハム紙幣

グランタクシーでティトアンへ
タンジェで荷物を担ぎ、バスターミナルへ。港の出口あたりに、CTMバス(註6)の乗り場があったが、人々でごった返していて、民営バス(註7)にしようと思った。かなり暑いが延々と歩く。ようやく到着したバスターミナルだが、目指すシャウエン(註8)行きは当分なかった。(註6…Compagnie de Transport Marocains-Lignes Nationles。モロッコ国営バス。)(註7…CTMよりも多様な路線を持ち、料金も安いが、明らかに古い車体のものが多い。基本的にCTMは決まった地点でしか乗降がないものの、数多くの地点で止まるため、遙かに時間がかかる。)(註8…Chefchaouen。シェフシャウエンが正式名称だが、シャウエンで通じるリフ山脈の山麓にある都市。人口4.5万人。旧市街はブルーの世界。)
この脇に、グランタクシー(註9)乗り場があり、ここで交渉する。だが、シャウエン行きはなく、その手前のティトアン(註10)なら行くという。値段は25ディルハム(以下DH表記)。自分が最後の客だった。(註9…Grande Taxi。メルセデスなどの大型乗用車を使い、都市間を移動する乗り合いタクシー。小型のプチタクシーはその都市から外には出ることができない。料金はバスより少し高めだが、早く移動できるため人気がある。ただし、後席4人、助手席2人が乗るため、かなりきつい。)(註10…Tetouan。リフ山脈の山麓にある都市。人口32万人で、旧市街が世界遺産に登録されている。)

グランタクシー後席より タンジェの街を疾走するグランタクシー 到着したあたり

前の座席に運転手を除き2名、後ろに4名乗るのが、グランタクシー<上左>の定員である。クルマはほとんどが古いタイプのメルセデスで、かなり窮屈である。それでも出だしは快調で、タンジェの街中<上中>を駆け抜け、やがて山道に。ティトアン<上右>までは1時間程度とのことだが、途中事故による渋滞があり、2時間近くかかった。タクシーは、シャウエン行きのグランタクシー乗り場でこちらを降ろす。ありがたいことだが、非常に窮屈な思いをし、考えが変わっていた。ここで宿を探すことにする。すると、親切なモロッコ人がやってきて、中心部への行き方を教えてくれた。
嫌な予感…宿が
再び重い荷物を持って、歩き出すが、ほとんど街の中心がわからない。途中プチタクシー(註11)を止めて、とある宿の名前を告げる。ドライバーは陽気な男で、「俺はシューマッハだ。巧いだろう」ともいう。こちらは荷物代込みで10DH(註11…Petit Taxi。たいていはメーターが付いていて、メーター通りに走るが、都市によってはメーターがなく、運転手の言い値のことも。荷物料金を取る場合もある。また、都市の中だけの乗り合いタクシーである場合もある。都市によって色が決められている。)
しかし、その宿は満員だという。近くの数軒を当たったが、いずれも同じ。そんなに観光客がいるとは思えないのだが。そんな時に、身なりがいまいちな男につかまる。宿に案内するとのこと。とある建物の中に、その宿はあった。薄暗い部屋。シャワーとトイレは共同。一瞬傾きかけ、パスポートを見せて金を払う段になり、結局ここを逃げ帰ってきた。
追いかける男。別の宿を探すとのことだが、非常に疲れている。この男も同様らしく、水を飲まれてしまった。それから数軒周り、結局Hotel Parisでツイン料金の部屋をなんとか確保した。男には10DH与えて、引き取ってもらう。

ベッドルーム シャワールーム

ようやく落ち着いた部屋<上左、上右>だが、ダブルベッドがでんとあるような感じで、洋式トイレとシャワーもある。だが、トイレットペーパーはなかった。水で流せということか。着ていたTシャツはすでに汗だく。水シャワーを浴び、洗濯する。アルヘシラスでたまっていた服も洗う。
メディナへ

ムーレイ・メフディ広場 パニーニとコーラ 丘に広がるメディナ 人があまりいない

ようやく外出。新市街はなかなか風格のある感じ。特に、ムーレイ・メフディ広場<上左>あたりが奇麗である。焼きサンドイッチとコーラの軽食を昼食<上左中>とする。25DH。店を出て、駐車場のようなところに出たが、ここからはメディナ<上右中>(註12)を眺めることができた。しかし、ここからは直接メディナに入ることができず、遠回りする。モロッコ国旗の並ぶ通り<上右>を進むと、やがて八百屋<下左>が並ぶところに出た。人の動く方向へ行くと、王宮<下左中>があった。ここには入ることは出来ないが、写真くらいは撮れる。しかし、行き止まりなようなので、引き返して、メディナへ。(註12…Medina。モロッコでは旧市街を意味する言葉。もともとは、サウジアラビアの都市、メディナから来ている。)

八百屋のスークか 王宮 ルアフ門 狭いスーク

ルアフ門<上右中>よりメディナへ。小さいメディナ<上右、下左、下左中>だ。スーク(註13)が職種ごとに別れている。ここは世界遺産に指定されているが、格別の印象はあまりない。モロッコ初日で、非常に疲れていることから、印象が薄いのかも知れない。そのまま歩いていると、モスクのあるシディ・サイディ門<下右中>へと歩いてきてしまっていた。ここで旧市街は終わるので、引き返す。狭いスークは人との距離が近く、なかなか思ったような写真が撮れない。最後は、GR1sでモノクロスナップ<下右>をしてみた。(註13…Souk。市場のこと。モロッコのスークは業種ごとに固まっている。)

スークのちょっとした飾り 皮革製品の店 メディナの裏門 スークをモノクロで

新市街に戻り、バスターミナルで時刻のチェック。だが、薄暗くてわかりにくい。ここで、ミネラルウォーターの1500mlボトルを購入。6DH。購入した水、シディ・アリ(註14)は、冷えていると非常に美味い水である。(註14…Sidi Ali。モロッコで最も目にするミネラルウォーター。)
宿で再び水シャワー。夕刻になって、外出。ネットカフェがあり、久しぶりにPCの前に座るが、日本語が打てない。1時間弱で4DH
レストランも…

ライトアップされたメディナ かなりの人出だが 水とコーラ モロッコのパン

ティトアンはなかなかレストランを見つけにくい。ネットカフェを出て、再び駐車場からメディナの夜景<上左>を撮る。夕刻を過ぎるとかなりの人通り<上左中>がある。しかし、コーヒーやお茶を出すカフェは非常に多いが、どうも入りにくい雰囲気があった。ようやく見つけたところは、ちょっと高級そうだったが、アルコールはない。Birjissという店である。仕方ないので、飲み物<上右中>はシディ・アリとコーラにする。オリーブの実とパン<上右>が運ばれる。モロッコのパンはなかなか美味い。この店のパンは、大きいものを1/4にカットされたものである。料理はニース風サラダ<下左>鶏肉のブロシェット<下中>(註15)。最後にミント茶<下右>を頼んだ。99DH。料理は格別美味いということもなかった。かなり疲れているのだろう。(註15…Les Brochettes。肉を串焼きにしたもの。)

ニース風サラダ ブロシェット ミント茶

宿に戻るが、何故かこのティトアンは夜中までうるさく、特に宿の前の通りは、抜け道になっているのかクルマの騒音が激しい。本当はここにもう1泊してシャウエンに日帰りする計画をしていたが、やめることにした。<Next→青いラビリンス>

リスボン(1) リスボン(2) オビドス ラーゴス サグレス ファーロ アルヘシラス

シャウエン(1) シャウエン(2) シャウエン(3) フェズ(1) フェズ近郊 フェズ(2) ラバト(1)

ラバト(2) マラケシュ(1) マラケシュ(2) エッサウィラ(1) エッサウィラ(2) カサブランカ(1) カサブランカ(2)

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