陽の沈む国へ〜Taroudant

デーツ、ここまで来るとモロッコ南部

ワルザザートから古都タルーダントに移動。この狭い町を1日散策することにする。人々もそれほど観光ずれしていなかった。

2005/01/01(Sat:第8日)古都タルーダント<タルーダント 晴れ>

タルーダント市内観光〜Troudant Hotel
手探りのチケット探し
タルーダントも夜(註1)は寒かった。また、部屋の窓に面した側は、タルーダントのメインストリートでもあり、夜中まで話し声が聞こえたりする。お陰であまり眠れなかった。ホテルの朝食料金は高いので、外に出て朝食とする。部屋を出て、中庭<下左>を眺める。昨日はいい雰囲気だったが、作り物のちゃちな置物<下左中>があったりする。適当な店を探していたら、タルモクラート広場まで出てしまっていた。カフェのような店で、袋に入った菓子パンとカフェ・オ・レを朝食<下右中>とすることにした。6DH。再びホテルに戻り、荷物を持って外に出る。(註1…やはり内陸部にあるので、日が暮れると寒くなる。)

ホテルの中庭 置物のキリン 非常に簡単な朝食 カスバ門

翌日の移動は、大西洋に面したアガディールという町までを考えていた。比較的短距離なので、バスではなく、グランタクシーを使ってもいいかなと思っていたので、ガイドブックに載っていた、カスバ門<上右>近くのグランタクシー乗り場をまず当たってみようとそちらへ歩く。だが、カスバ門には、そのようなものはおろか、グランタクシーの姿が1台もなかった。ガイドブックの記載が間違っているのだった。だが、カスバ門には、上がることができ、ここから、だいぶ低くなったオート・アトラス<下左>の山並みも眺められる。ちょうど、青い服の女性<下左中>が歩いてくるのが見えた。ブルーマン(註2)なんだろうか。また、カスバ門の近くにある、カスバ<下右中>(註3)を覗いてみるが、迷路でもなんでもなく、あまり面白くなかった。ただ、反対側の門を出ると城外となり、ここからもオート・アトラス<下右>が先ほどよりもはっきりと見ることができた。(註2…青い民族衣装を着た、砂漠の遊牧民。服の青が顔や額につくことからそう呼ばれている。西サハラ地方には多いらしい。)(註3…ただし、この中にある、元総督の屋敷を改装したパレ・サラムというホテルは、四つ星で、おそらくこれがカスバのゆえんなんだろう。余談だが、タルーダントには、郊外にラ・ガゼル・ドールという1泊4000DH近くする最高級ホテルがある。これはカサブランカのシェラトンなんかよりも高い。)

カスバ門からオート・アトラスを眺める 果たしてブルーマンかどうか タルーダントのカスバ内部 城外からオート・アトラスを望む

また、移動手段として、バスもあるが、CTMバスは昨日到着したザルガン門ではなく、町の西側にあるタグノン門<下左>に発着するので、そちらの様子も見に行く。特に、ターミナルということもなく、寂しい限りではあった。この近くに、なぜか日本の合気道という文字があり、組み手をかたどった絵<下左中>が表示されたシャッターが見えた。また、モロッコではよく見かけるのが、歯医者の看板<下右中>。こちらはわかりやすく、唇と歯のイラストである。さて、こうして歩いているのだが、タルーダントの旧市街には、あまり歩道と車道の区別がない。歩く人も、道の右なのか左なのかということがはっきりしていない。そんな中をクルマが平然と通りすぎていったりする。そんな時、筆者の脇をクルマがカーブしてすり抜けていったのだが、その間隙はわずか10cm程度であった。気をつけたし。

CTMの発着するタグノン門 合気道の道場か 非常にわかりやすい看板 アッサラーグ広場

アッサラーグ広場<上右>には、バスのチケット売り場があり、会社ごとに別れている。私営バスのSATASに行ってみると、表示された文字はアラビア語だけだったが、係によると、アガディール行きは15:30とのことで、これでは遅すぎることがわかる。次に、広場の反対側にある、CTMでは、カフェを兼ねているためか、「まあ座れ」といわれたものの、バスは夜までないらしい。となると、やはりグランタクシーか。昨日到着したザルガン門では、かなりのグランタクシーを見かけた。ここで交渉すれば、何とかなるのだろう。という結論に達した。
ベルベルスーク

ベルベルスークの入口はわかりにくい 狭い通りに品物が並ぶ こちらはアーケードの中 モロッコは皮革製品が有名

タルーダントには、スークが二つある。ベルベルスーク<上左>とアラブスークである。まずは、ベルベルスークに行ってみる。こちらは、入口からは想像できないような、店が整然と並ぶ新しいスークだった。衣服<上左中、上右中>、雑貨、皮革製品<上右>スパイス<下左>など。店も業種ごとに並ぶのは、マラケシュと同じである。道はまっすぐで、迷うことはないだろう。また、ベルベルと名前がついているものの、ベルベル人だけがやっているということはなさそうである。

香辛料 バスターミナルへの出入り口 タルーダントのグランタクシー バスももちろん発着している

そのまま、町の南の方に出てしまったので、ザルガン門付近<上左中>のバスターミナルまで行ってみた。深緑のグランタクシー<上右中>がかなりの数待機していて、客をさばく呼び込みがあちこちで立っているのでわかりやすそうである。もちろん、この時間もバス<上右>が発着しているのだが、どこの会社か判然としない。明日はここから、グランタクシーにしようとあらためて思う。
いつの間にか昼過ぎになっていた。町の中心部に戻り、昼食<下左>。Snack El Barakaという店。スナックという名前ながら、まともなものを出すようである。道路に面した階は、調理場といくつかのテーブルが並ぶが、上に上がると、客はいなかった。すぐにウェイターが顔を出す。やや歯が黄ばんだ青年だが、きちんとシャツを着てネクタイを結んでいる。コーラとブロシェット<下中>のサンドイッチを頼む。「コーラ」と注文すると、「コカ?」と聞き返される。

簡単な昼食だが、テーブルは賑やかになった パンと具は別々だった ついてきたハリサ

サンドイッチというものの、パンと、ブロシェットは別になっていた。自分で作る(註4)のだろうか。ブロシェットは、5本の金串が並び、大量の細切りのフライドポテトも付く。これにマスタードをつけて食べると美味い。また、ハリサ<上右>も付いていた。これで、30DHである。(註4…ブロシェットの正式な食べ方は、パンの間に串を挟んで、これを引き抜いて食べるらしい。)
アラブスーク

貴金属店 素焼きの陶器、非実売品かも カラフルな陶器 何気なく干された絨毯

満足して今度は、アラブスークへ。こちらの方が道が入り組んでいる。が、マラケシュのスークほどは複雑ではないので、勝手な方に歩いても、迷うような楽しみがあった。ここも、屋根付きのスークで、暗いところでは貴金属<上左>などが扱われていた。モロッコは陶器が有名でもあるが、ここでは実演販売もしているのだろうか、素焼きの陶器<上左中>絵付けした陶器<上右中>を売る広場などもある。別の広場では、マラケシュのように、絨毯<上右>を扱うところも見られる。そんな中を家畜だろうか、牛<下左>が引かれていくのを目撃する。このアラブスーク<下左中>では、さほど人通りも激しくないので、マラケシュのように前後左右を気をつけながら歩くということがない。そうしていると、やや明るいところに出て、雑貨などの店だった。中には、ヘンナ(註5)を使った手染め用の型紙<下右中>が売られているのを見つけた。さらに明るいところに行くと、食料品<下右>などの店となった。(註5…Henne。日本でも知れ渡ってきたヘンナだが、モロッコでは髪や手足を染めるのに使う。ヘンナはベルベル語で平和の使いの意味がある。モロッコでは特に女性は手を独特の模様で描いていく習慣がある。同様のものは、インドあたりにも見受けられる。ヨーロッパあたりでは、インスタント・タトゥとして使われることもある。)

スークの中を引かれていく牛 混雑していてもこの程度である 型紙 豆

次には、町の北にある、ケミス門<下左、下左中>に行ってみる。かなりローカルな感じで、観光的な感じはしない町の眺めとなっている。すれ違ったり、追い越す地元の人が、なにやら声をかけてくるが、挨拶程度のものであったり、どこから来たかなどといったものである。適当に距離を置いてくれるのがありがたい。ケミス門には、定期的に市が立つらしいが、この日は閑散としていて、わずかに陶器が並べられている程度だった。

ケミス門、城内から 城外からのケミス門 ケミス門の先のオート・アトラス ゴミのたまったワジ

ケミス門の先には、オート・アトラス<上右中>の山が映えていた。少し足を伸ばしてみたが、ゴミのためられたワジ<上右>(註6)があったりして、ちょっとがったりした。朝からかなり歩いたので、ちょっと疲れた。部屋に戻って、昼寝をする。(註6…Wadi。枯れ川。雨季になると、水が流れる。)
起きると、19:00くらい。手持ちのレンズで一番明るいものに付け替えて、町に出てみる。もう夕暮れどころではなく、夜であった。アッサラーグ広場<下左>からタルモクラート広場まで歩く。こんな中で、ストロボを使わずに撮れたのは、アラブスーク<下左中>の中の一部くらいである。また、タルーダントはクチ<下右中>が立派な交通手段でもある。通り過ぎるクチを撮影していると、御者に声をかけられた。あまり得られるものはなく、ホテル<下右>に引き返す。

アッサラーグ広場付近 夜も活気のあるアラブスーク 白馬のクチ タルーダント・オテル前

夕食は、ホテルのレストラン(註7)を利用した。メニューと値段表を確認して、ここのセットメニューを頼むことにしたのだ。70DHのツーリストメニューによれば、サラダかスープ、ラムかチキンのタジン、フルーツのデザートとのこと。(註7…ガイドブックによると、フランス料理のレストランとのことだったが、ツーリストメニューはモロッコ料理であった。ただし、客はフランス系が多いようだし、サービスもフランス式であった。)
ちょっとがっかりの夕食
ウェイターは、一人しかいなかったが、客が少なくて助かる。赤ワイン<下左>のハーフボトルとミネラル水の小ボトルを頼む。ワインは、メクネス(註8)で作られたもののようであった。久しぶりのアルコール。だが、あまり美味くない。(註8…Meknes。フェズにほど近い世界遺産の古都。ワインの産地でもある。)

赤ワインと水 おそらく野菜スープ まずかったラムのタジン、シトロン味 山盛りカットフルーツ

スープ<上左中>とラムのタジンを選ぶ。スープは気の抜けたような味だった。思わず塩をふる。メニューから判断すると、野菜や豆をすりつぶしたもののようだ。ポルトガルにも、同様のもの(註9)がある。味はあちらがもちろん美味いが。ラムのタジン<上右中>には、メニューによると、シトロンという文字が記されていた。柑橘類の一種だろう。さらには、赤いグレープフルーツも入り、肉との相性が悪いようだ。ラム肉は特に臭みがなかったが、煮込んで食べるには、食が進まず、肉は半分以上残した。チキンタジンばかり食べていたのでたまには冒険心を出したのだが、これは失敗であった。フルーツというのは、カットされたグレープフルーツ、リンゴ、パイナップルの入った、フルーツポンチ<上右>状のものであった。それが、シロップに浸かっている。最後にコーヒーを頼む。勘定は、部屋番号を告げたので、チェックアウトの時に精算することになる。それにしても、このレストランには、ほとんどが旅行者ばかりのようだった。欧米の旅行者というと、こういうところに来るのは、たいていはカップルか家族連ればかりなのだろうが、男性二人連れと男性ばかり5人組という人たちも来ていた。こういうのは初めてだと思う。(註9…Sopa de Legumes。)
パティオを通って、部屋に戻る。パティオはバーとなっているのだが、ここには、旅行者ではなく、地元のモロッコ人の男性ばかりがいた。どうも、このホテルのバーが、酒好きのモロッコ人のたまり場となっているようであった。<Next→忍耐の移動で大西洋岸へ

カサブランカ入国 マラケシュ(1) マラケシュ(2) アトラス越え ワルザザート郊外 タルーダントへ移動

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