陽の沈む国へ〜El Jadida

世界遺産指定のアル・ジャディーダのポルトガル旧市街

濃霧の一夜から明け、アル・ジャディーダの観光へ。かつてポルトガルが占領していた、マザガンへ。午後からはカサブランカへ移動。

2005/01/07(Fri:第14日)思わぬ世界遺産を歩く<アル・ジャディーダ 霧のち晴れ カサブランカ 晴れ>

アル・ジャディーダ市内観光〜アル・ジャディーダ・バスターミナル14:35-(CTM)-16:20カサブランカCTMバスターミナル〜Hotel Al Mounia
*ポルトガル時代の旧市街が世界遺産に指定されています。
オヤジカフェで朝食を
オヤジカフェの朝食セット部屋のドアに貼り付けてある注意書きによると、このホテルでも朝食が別料金で食べることができるようだった。だが、食堂あたりに行ってみても準備さえできていないので、そのまま近くのカフェに行く。通勤前のためだろうか、見事にオッサンばかりの世界。ここの朝食セット<右>は、16DHで、餡の入ったパンと、オレンジジュース、茶かコーヒーという内容。ミント茶にする。何しろ寒かったので、ミント茶で生き返る感じである。外はまだ、霧に包まれている。
旧マザガンのメディナ
チェックアウトで、198DH払い、荷物を預かってもらう。このホテル<下左>も、ほとんどモロッコ人のアルコール摂取のために、存在しているようなホテルであった。そのまま、メディナへ。ここのメディナは、ポルトガルが占領していた時代のもので、その頃は、マガザンという名前であった。街はまだ霧<下左中>にむせぶ。しばらく歩くと、城壁<下右中>が見えだした。入口には、警官が二人警備している。治安が悪いのかどうか。

Hotel Royal外観 霧にむせぶアル・ジャディーダの街 旧市街の城壁 ユネスコのモニュメント

入口手前には、ユネスコのマーク入りのモニュメント<上右>が建っていた。それによると、昨年(2004年)世界遺産(註1)に登録されたそうである。そのまま入っていく。ここはメディナとはいえ、あまり迷うことはないだろう。どんどん進んでいっても、どん詰まりになるくらいである。このメディナは、海に面していて、稜堡が四隅にあり、それを城壁で囲む形となっている。菱形の形のメディナである。(註1…モロッコの世界遺産であるが、2005年1月現在で8箇所の登録である。メクネス、アイト・ベン・ハッドゥ、ヴォルビリス、マラケシュ、ティトゥアン、フェズ、エッサウィラとここである。ガイドブックにはまだ記述がなかったので、現地で知ることとなった。)
ポルトガル時代の貯水槽
ここでは、ポルトガル時代の貯水槽<下左>というものに行く。ガイドブックでは、このくらいしか記述がなかったのである。近くの青年に道を訊くが、目と鼻の先だった。ここを入っていくが誰もいない。すぐに管理人が出てくる。入場料、10DH。管理人によると、中の写真は撮っていいとのことで、久しぶりにストロボを使う。

ポルトガル時代の貯水槽 天井部に空いた穴 機能していない樋 均等に並んだ柱

ここは、イスタンブルにある、地下宮殿に雰囲気が似ている。貯水槽というものの、現在は水が満たされてはいない。ただ、天井部にひとつだけ丸い穴<上左中>が空いていて、ここから雨水が降りこんだらしく、床のレベルで中央のくぼんだ部分に水がたまっていた。その周囲をぐるっと回ることができる。ガイドブックの解説によると、天井の穴から雨水を取り込んだとある。また、樋<上右中>のようなものも見えたが、実際には機能していないようであった。ここには、均等に並んだ柱<上右>があり、不思議な雰囲気である。よほど外の気温が低かったのか、ここに入ると、カメラのレンズが曇った。
城壁より

メディナのポルトガル風の住居 メディナのちょっとした広場 城壁に上がるスロープ 城壁の道

そのままメディナ<上左、上左中>を歩いていく。土産物屋から声がかかる。こんなところにも、観光用の店があるとは思ってもいなかったが、世界遺産に登録されるくらいなので、当然かも知れない。だが、ほとんど観光客はいず、ひっそりとしたところである。ここも暇そうな少年や青年が、こちらを見ながら、つかず離れず、歩いていたりする。城壁に登ることのできるスロープ<上右中>があった。城壁の道<上右>はかなり整備されていた。しばらく進むと、大砲<下左>が並んでいるところに出た。ここで記念撮影<下左中>。ここからは海が眺められるが、やはり霧に包まれている。そんな中、海に出たボート<下右中>などでは漁も行われていたようであった。さらに歩いていくと、小高いところに出る。ここは、ポルトガル旧市街を囲む城壁の四隅にある稜堡<下右>のひとつであるようだ。

大砲が並ぶ 城壁での記念撮影 漁をするボート 稜堡からの眺め

稜堡からは運河<下左>が眺められた。そこでは漁師<下左中>が漁の準備などを行っていた。城壁を歩く。ここには、シナゴーグもあったらしい。シナゴーグ<下右中>は、登ってきたところから左にある。ほとんど、もう一つの海側の稜堡に近い。とはいえ、閉鎖中で外から眺めるだけである。この先は、海に面していないこともあるが、あまり注目すべきこともなさそうだったので、引き返す。しかし、高いところからは、住居<下右>が丸見えのところもある。この城壁からは、メディナに住む市民の生活を手に取るように観察できた。

運河 漁の準備をする漁師 シナゴーグ 城壁からの市民の住居

スロープから降りる。このスロープの脇に、海<下左>に開いている門があった。少し覗く。再び、メディナ<下左中>に戻り、家の間を歩いていく。ほとんど観光客には興味を示さないような感じのところである。ここには土産物屋もあり、何か買っていかないかと聞かれる。また、よろずやといった風情の商店もあり、乾燥させた野菜をつなげたもの<下右中>がぶら下げられていた。用途は不明である。このポルトガル旧市街には、自動車が入れないこともないのだが、実用的に使われるのは、荷車<下右>などのようである。とはいえ、このようなところを歩いていても、不審がられることもなかった。むしろ、人がよいくらいである。先ほどの土産物屋でも話しかけられたが、家から出てきた普通のおばさんが、たどたどしいフランス語(註2)で話しかけてきたりもする。(註2…一般のモロッコ人でもやはりフランス語は苦手の人もいる。この人は、「ボンジュール」というべきところ、「ボンソワール」と間違えたりした。)

門から海を覗く メディナの路地 謎の商品 ロバの荷車

メディナの入口近くには、大きなモスクがあるが、かつてのカテドラル<下左>もある。建物だけは残っているが、もちろん現在はカトリックの教会としては使われていない。ここまで来たら、残りの稜堡にも登ってみる。運河側の稜堡<下左中>からは、モスクのミナレットが見えるがまだ霧に包まれていた。もうひとつの近くには、ハマム<下右中>があり、ちょうど女性が入っていくところだった。ハマムから出てきたらしい労働着を着た男性が、ハマムはどうだと誘う。そういえば、この日は金曜日なのだ。こちらの稜堡<下右>は草の生い茂るところで特にどうということはない。

旧カテドラル 運河側の稜堡からの眺め ハマム

海へ
メディナには、数時間もいただろうか。時が止まったような空間であった。ここを出て、海沿いの道に沿って歩く。しばらく行くと、市場の一部だろうか、そこを利用して、魚を調理する屋台街が見えた。ここで食べることができたらよかったのだが、もう遅い。

アル・ジャジーダの海岸 パーム椰子の並木

また歩いていくと、海岸<上左>に出た。しっかりと霧。波は荒い。しばらくここにいたが、市街に引き返す。このあたりは、パーム椰子の並木<上右>が続く瀟洒な通りである。このあたりからようやく日が差し始めてきたようである。バスターミナルから市街地まで、タクシーで来てしまったので、位置関係がはっきりしない。ホテル方面には向かわず、反対方向に歩く。バスターミナルまではすぐであった。
昼食
そのまま引き返し、ホテル前を通り、少し奥まったところにあるカフェで、ケフタサンドとハリラ、コーラを注文。ついでにトイレを借りる。アラブ式だったが、清潔である。メニューはないらしいので、数カ国語を話せる男性がウェイターにかわり、登場。店主らしい。それによると、フランス語とスペイン語が話せるらしい。だが、英語はできないらしい。

黄土色のハリラ ケフタサンド 別添えの調味料

ハリラとパン<上左>が運ばれる。ハリラは、どろりとしていて、黄土色であった。冷めたらもう、だめな感じである。だが、ケフタのサンド<上中>は美味しかった。唐辛子などの調味料<上右>も別に運ばれてきた。勘定を頼む。スペイン語で。「スペイン語ができるのか」という質問には、「少し」とだけ言っておく。数字関係ならば、フランス語よりもわかりやすい。33DH

やっと晴れた

ホテルに戻り、荷物を引き取る。両替の表示があったので、千円札を数枚換えようとしたが、これはだめ。仕方ないので、20USDだけ両替。机の中から、160DHを出してくる。手持ちはほとんどないようなもので、カサブランカでハッサン2世のモスク(註3)を見ようとすると、手持ちが少ないような感じがしたのである。(註3…現国王ムハンマド6世の父で、前国王が作った豪華なモスク。1993年完成。敷地内に8万人、建物内に2.5万人収容できる。ミナレットの高さは、200mで世界一。外国人観光客が見学できるモスクである。ちなみに、前回訪れた時には、豪雨で見学できなかった。)

円形のチケット売り場付近 晴れた海岸 晴れて記念撮影 バス車内

バスターミナル<上左>では、荷物代5DH。係のオヤジは、ここで写真を撮っていただろうという。しっかり観察されていたらしい。手荷物を預けまだ時間があったので、再び海岸<上左中>に出た。今度は晴れていい感じであった。せっかくなので記念撮影<上右中>しておく。バスはやや遅れてきた。適当に座席を取る。またしても内装<上右>が異なるバスである。やはり隣には誰もいずに、快適であった。だが、カサブランカ方面は、やや混雑していたようだった。
カサブランカ到着
バスターミナルに着き、そのまま荷物を引き取ろうとしたが、なんと、引き取り専用のカウンターがあった。ここからプチタクシーに乗る。いきなり、「20DH」といわれ、高いと感じたが、荷物代と思い、我慢する。カサブランカは渋滞がひどいようである。

初めてのまともな部屋 初のバスタブ 洋式トイレとビデ 金属製のテーブル

今夜の宿(註4)は、日本で予約してきた。バウチャーを見せ、部屋へ。荷物を持ってくれるボーイも同行。部屋<上左>は、初めてバスタブ<上左中>がついた。トイレ<上右中>の脇にはビデまであった。テレビ、電話、ダブルベッド。ただし、スイートルームの片割れらしく、隣室に通じるドアもあった。これはしっかりとロックする。テーブル<上右>などもアラブっぽいデザインの金属製のものである。(註4…Hotel Al Mounia。四つ星をネット予約。タクシーの運転手は予約があるのかと訊いてきたが、それなりにステータスはあるんだろう。作りはそこそこだったが、テレビの配線がめちゃくちゃでいじりなおした。)

カスバの時計塔 パーム椰子の並木 カサ・ポール駅 カサ・ポール駅のホーム

そのまま、カサ・ポール駅へ。時刻調べである。徒歩で15分くらい。途中カスバ脇を通る。この時計塔<上左>がカスバの目印だ。駅前の通り<上左中>はやはりパーム椰子の並木が続く。カサ・ポール駅<上右中、上右>は、カサ・ヴォワヤジャーよりもあか抜けた感じ。ラバト方面への基点らしい。ただ、空港行きの表示はあるものの、よく調べると、隣の駅で乗り換える必要があることが判明する。
バー・カサブランカ
駅から引き返し、ハイアット・リージェンシー<下左>に。ここには、映画「カサブランカ」(註5)に出てきた、Rick's American Barに似せたBar Casablancaがあるのだ。実は、前に来たことがある。その時には、カウンターの中には、ハンフリー・ボガート(註6)に似た感じの男性がいて、トレンチコートに帽子というスタイルで、注文された品物などを運んでいたりしたものである。また、警官役のクロード・レインズのスタイルのウェイターもいたりと、雰囲気はあった。(註5…1942年マイケル・カーティス監督。主演、ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン。企画の段階では、ボギーではなく、ロナルド・レーガンだったらしい。)(註6…Humphery Bogart。1899-1957。映画カサブランカ主演。ここでは、酒場の経営者を演じる。「アフリカの女王」でアカデミー主演男優賞受賞。愛称はボギー。)

ハイアット・リージェンシー バーの内部 生ビールらしい オリーブ、ナッツ、プレッツェルのつまみ

ハイアット・リージェンシーの入口では、もちろん日本人はノーチェックではいることができる。ドアマンは、「あけましておめでとう」などと日本語でいう。バー・カサブランカ<上左中>に入る。入口近く席に座る。ビールを注文。フラッグの生<上右中>らしい。ビールが運ばれるが、山盛りのオリーブとナッツ、プレッツェルが付く。つまみ<上右>がもったいないので、さらにビールを追加。これで、100DHらしい。

ピアノとボギー カサブランカのポスター 古い映写機 バーでの記念撮影

このバーには、ピアノ<上左>も置いてあった。その背後には大きなボギーのポスターがある。ピアノがあるということは、やがてピアノ弾きが現れるということなんだろうが。今のところ姿は見えない。バーの内部は、映画のポスター<上左中>があふれていた。古い映写機<上右中>などもさりげなくある。ただし、ボギー役の人物などはいなかった。日本人のツアー客がここを覗いたりしている。また、各国から来た観光客なども、出入りしている。とはいえ、ここは少し閑散としていた。最後にポスターの前で記念撮影<上右>をしてここをあとにする。
テイクアウトの夕食
ちょっと散財してしまったので、クレジットカードの使えるレストランで食事しようかとも思っていたが、テイクアウトのできるハンバーガーショップを見つけ、ここで、普通のハンバーガー<下左>と、月見バーガー<下中>(註7)を作ってもらう。実際ビールとつまみで腹がふくれていたというのもあるが。24DH(註7…実際には、<Luna Burger>という名称であった。)

切れ目の入ったハンバーガー 月見バーガー 部屋からの夜景

これを部屋で食べる。二重に紙でくるまれた、バーガーには、縦十字に切れ目がつけられていた。マクドナルドのバーガーなどよりも、値段も安くしかも美味い。部屋から外を覗く。手持ちだったが、慎重に夜景<上右>を撮してみた。この夜は、バスタブに湯を満たし、ゆっくりと浸かった。<Next→さらばモロッコ

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